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定期戦

筑波大学ラグビー部のアイデンティティを紐解く100年を斬る10の視点(仮題):「定期戦」記事の一部を先読み!

皆さまご承知の通りではあるが、筑波大学ラグビー部には、長い歴史のある2つの定期戦がある。
防衛大学校との定期戦。そして天理大学との定期戦。
100周年を機に、改めてその歴史を紐解くと、防衛大学校との定期戦が始まったのが、1954年(昭和29年)。天理大学との定期戦は、ほぼ同じタイミングとなる1955年(昭和30年)に交渉が始まり1964年(昭和39年)に、第一回が実現した。
この2つの定期戦には、常にその時代に合わせた大切な目的があった。筑波大学ラグビー部が成長を止めることなく100周年を迎えることができたのは、途切れることなく定期戦を続けていただけた防衛大学校、天理大学の存在があったからこそだ。
ここでは、両定期戦の歴史や意義について、筑波大学ラグビー部からは、古川拓生部長より、防衛大学校からは、筑波大学ラグビー部OB(平成14年入)でもある千葉剛監督より、天理大学からは「ラグビーOB会」より、ご寄稿頂いた。
今後、150年、200年と歴史を重ねる中で、2つの大切な定期戦で、毎年多くのドラマが生まれることを期待してやまない。

茗溪ラグビー創部100周年を祝して
防衛大学校ラグビー部監督 千葉 剛

 創部100周年にあたり、茗溪ラグビー関係者の皆様に心よりお祝いを申し上げます。また一OBとして、東京高等師範学校、東京文理科大、東京教育大、筑波大とたゆむことなく茗溪ラグビーの歴史を紡いで下さった先輩方にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 茗溪ラグビーと防衛大学校(以下、防大)ラグビーは、本校が保安大学校から現在の学校名に改名された創部2年目の昭和29年に最初の対戦が記録されている。さらにご縁について調べ進めると、防大ラグビー部創設以来最初の公式戦として行われた昭和29年の東京水産大学との試合における担当レフリーが、後に防大の監督を務めることになる当時県立横須賀高校に勤務されていた故渡邉長治先生(昭和25年入)であったと記録されている。その縁が縁を生み、大学時代の同期であった江田先生が監督を務められる東京教育大との交流が始まり、10年ほどは公式戦としての交流が進み、リーグ再編などによる試合交流中断期間を挟むも、江田先生・渡邉先生の強い意志のもと、昭和48年に仕切り直す形で第一回定期戦が開始され、現在に至っている。ここまでが両校の交流の端緒である。近年に目を向けると、私自身、現筑波大学ラグビー部長である古川先生の監督一期生として主将を務めたが、4年次の定期戦では防大が勝利、私が防大ラグビー部監督に着任した平成28年度以降、防大は一度も勝利できていないことから、立場は異なるが、苦い想いを味わい続けている定期戦、というのが本音である。一方で、母校と定期戦を戦うことができる恐らく数少ない監督であること、同郷・同い年の嶋崎監督と定期戦を舞台に戦えることは、江田先生・渡邉先生のご両名をはじめ、歴代の両チーム関係者への感謝を思い起こさせ、原点に立ち返るための大切な機会になっている。 

今回の執筆を通じて、防大ラグビーの卒業生たちに、在学当時と卒業後に感じる筑波との定期戦の位置付けを聞く機会を持った。防大で初めてラグビーに触れ、定期戦で初めてファーストジャージを着る選手が多い中、なぜここまで経験値に差がある者同士が試合をするのか、未知との遭遇によってラグビーを終えなければならなくなってしまうのではないか、という畏怖と直面する機会と記憶されているそうである。彼らが恐怖ではなく畏怖と表現したのは、壊しにくるようなプレーで感じるような怖さではなく、筑波の正しい強さに対して生まれる感情だったと語られている。防大が筑波に挑む構図であるのは疑いようのない事実であるが、尊敬と信頼のもとで成立しているチャレンジと言える。学生時代のことなので目の前に精一杯で歴史的な経緯にまで目を向けられていない側面は否めないが、筑波との定期戦は、防大の使命を踏まえると、身体を張ることを決めたからこそ生じる感情と向き合うクラブ最高峰の機会になっており非常に高い教育的価値を有している。卒業後、各自衛隊の部隊に出て行くと様々な背景がある先輩たちと勤務する。中には、防大卒業後、数年の部隊勤務を経て、自衛官の身分のまま大学院に進学して研鑽を積む隊員も居る。この制度ができた当初から受け入れをしていたのが筑波大学であり、当省には筑波大学大学院卒の隊員が多数在籍している。建学の理念に示されている「国内的にも国際的にも開かれた大学」の体現を感じる。また、自分自身の子供を学校に通わせるようになると、教員の中に多くの筑波出身のOBやOGが居ることに気付き、学生時代に定期戦を行なっていた筑波大学との縁を再確認しているようだ。

続きは、記念誌にてお楽しみ下さい。。

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